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  行政書士・社会保険労務士 徳 田 雅 裕
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遺言執行者


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遺言執行者の意義とその選任
遺言執行者の任務
相続人の処分の制限
遺言執行者の解任・辞任


遺言執行者の意義とその選任

遺言の内容には何らの執行も要せず遺言の効力発生と同時に実現されるものと、その実現には執行を要するものがあります。相続分の指定、遺産分割の禁止、未成年者後見人の指定などは前者にあたり、遺贈、財団法人設立のための寄附行為(※)、相続人の廃除(※)などは後者にあたります。遺言執行者は遺言の内容を遺言者に代わって実現させる者ですが、民法では遺言執行者を相続人の代理人としています(民1015条)。

執行を要するものでも、相続人または遺言執行者のどちらが執行してよいものもありますが、相続人の廃除・廃除の取消し、子の認知(※)といった遺言の内容は相続人が執行することはできず、遺言執行者だけが執行できるものです。このような内容が遺言に含まれる場合には遺言執行者の選任が必要となります。また、相続人が執行してもよいものの、内容が相続人の利益に反し、適正な執行が期待できない場合や相続人の協力が得られない場合にも遺言執行者を選任する実益があります。

遺言者は遺言で遺言執行者を指定し、または第三者に指定を委託することができます(民1006条1項)。これにより遺言執行者に指定された者は承諾により就職しますが、承諾するか否かは自由です。また、諾否の旨を相続人に通知する義務がありませんので、遺言執行の遅延を防ぐため相続人や指定の委託を受けた第三者、相続債権者などの利害関係人は相当の期間を定めて就職を承諾するか否かの確答すべき旨を催告することができます(民1008条)。

また、遺言執行者が必要であるにもかかわらず、遺言に指定やその委託がないとき、指定を受けたものが就職を拒否した場合などは利害関係人は家庭裁判所に遺言執行者の選任を申立てることができます(民1010条)。

なお、相続人や受遺者、法人でも遺言執行者になりえますが、未成年者や破産者はなることはできません(民1009条)。
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遺言執行者の任務

遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の内容を実現するために必要な一切の行為を行なう権限を有します(民1012条)。

遺言執行者はまず、その管理の対象となる財産の目録を遅滞なく作成し、各相続人に交付しなければなりません(民1011条1項)。もっとも遺言の内容が認知など身分事項だけであれば財産目録は必要ではありません。他に行なう執行行為としては下記のようなものがあります。

子の認知
就職の日から10日以内に遺言の謄本を添付して届出を行ないます(戸籍法64条)。

相続人の廃除またはその取消し
家庭裁判所にその請求をし、審判を得たうえで届出を行ないます(戸籍法97条)。

財産引渡し、移転登記手続
不動産につき遺贈があり、その移転登記を行なう場合、登記権利者は受遺者、登記義務者は遺言執行者が選任されていればこの者による共同申請となります。

遺言の執行に関連する訴訟

なお、遺言執行者は数名を選任することもできます。例えば、遺贈の執行はAが行ない、認知についてはBが行なうといったように遺言執行者ごとに任務を指定することもできます。
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相続人の処分の制限

遺言執行者がある場合には、相続人は相続財産の処分その他遺言の執行を妨害する行為をすることができません(民1013条、1014条)。

相続人が禁止される行為は遺言の内容にもよりますが、例えば、遺贈の目的となっている建物を譲渡したり、これに抵当権を設定するといった行為は禁止行為に該当します。違反してなした相続人の行為は絶対的に無効とされます。
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遺言執行者の解任・辞任

遺言執行者がその任務を怠ったときでも、相続人や受遺者は直接この者を解任することはできません。家庭裁判所に解任の請求をすることができるにとどまります(民1019条1項)。

請求により家庭裁判所では解任事由の有無を審理します。例えば、一部の相続人・受遺者に加担し遺言の公正な執行が期待できない場合や、相続人との密接な関係があり遺言の執行につき相続人全員の信頼が得られないような場合は解任事由になるとした判例があります。

また、遺言執行者は老齢、病弱、多忙などといった正当事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て辞任することができます(民1019条2項)。
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【※用語】
寄附行為 社団法人の定款にあたる、財団法人の根本規則そのものを指すときもありますが、ここでいう寄附行為とは財団法人を設立する行為を指します。これには公益目的の財産提供と根本規則を定めることが必要です(民39条〜42条)。
廃除 被相続人を虐待したり、重大な侮辱を加えたり、その他著しい非行があったときに、被相続人の家庭裁判所への請求によって相続資格を失わせる制度です(民892条)。
認知 法律上、婚姻関係にない男女間に生まれた子をその父または母との間に意思表示または裁判によって親子関係を生じさせることをいいます(民779条以下)。成年の子を認知するにはその者の同意が、胎児については母の同意が必要になります(民781条〜783条)。

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